これだけインターネットが普及し、ニュースだけでなくソーシャルネットワークでも情報を収集できる世の中になりました。
ただ、出回っている情報全てが真実とは限りません。フェイクニュースも多いのですし、一方的な報道もあります。
フェイクニュースにはご注意を
一見すると本当のように見える、聞こえるほど巧妙なのがこれまた非常に厄介です。
ロシア国内では情報規制がかけられ、嘘の情報が出回っていると聞きますが、これはロシアに限ったことではなく、ウクライナ側でも巧妙なフェイクニュースが拡散されています。
例えば、
ロシア軍の爆撃で両親が死亡しました。彼らの生後数ヵ月の双子の孤児がスロバキアとの国境まで来ています。
誰か養子にもらって下さい!助けて!
後にこの情報はデマだと判明しました。
聞いた人の感情を揺さぶるような内容のものが多く、人々の感情を掻き立てるのが狙いだとみられます。
フェイクニュースだけでなく、出来事に嘘を加えて脚色、真実を歪めているものがあります。
(例)
ウクライナのアパートが被弾、当時はロシア軍によるものと報道されました。
しかし、被弾したミサイルの軌道や瓦礫のミサイルの破片からどうもロシア軍のものではなく、ウクライナ軍によるものと判明。
知る勇気
無知とは本当に恐しいことです。そしてさらに恐しいのは、「知らない」ことを知らないで、情報操作された一方的な断片的な乏しい情報で物事を誤って解釈することです。
ロシア軍によるウクライナ侵攻、2014年のクリミア半島侵攻以降のこの8年間にウクライナ国内では反ロシア政策を掲げるAzovなどの(ネオナチ)やウクライナ軍により多くの親ロシア派の市民の命を奪うことが起きているのです。
東ウクライナは元々ロシアだった
東ウクライナに位置するドンバス地方(ドネツク、ルハンスク)は天然資源の豊富な、ロシアの国土でした。
100年前、当時のレーニン大統領が豊かな土地であるドンバス地方をウクライナの国土とし、経済回復を目的としてウクライナと交渉の末に渡したもの。
そのため、今でもドンバス地方の人々はロシア語を母語とする人が多いのです。
ロシア語とウクライナ語はチェコとスロバキア語のように方言ほどの違いしかありません。
ドンバス地方のウクライナ人がロシア語を話すのは歴史的に見れば自然なことであるのです。
ただこの地方に住み、ロシア語を話すというだけで命を脅やかされている人々がいるのです。
オデッサの虐殺
2014年に起きたオデッサの虐殺をご存じでしょうか?
ウクライナ南東部の港街オデッサにある労働会館が親ロシア派市民をよく思わない人々(ネオナチ)によって放火され、200名以上の犠牲者が出た事件です。
インターネットで検索すると、中には見るに耐えない画像も出できますのでご注意下さい。
本当にロシアはウクライナを占領し支配するのが目的でしょうか?
私自身もこちらに来るまでは恥ずかしながら、ロシアとウクライナの歴史的政治的関係、時事ニュースをほとんど知らずにいました。
食い違う双方の意見
5日、ロシアがウクライナ南部の都市、ボルノバーハとマリウポリで民間人の避難を促すため人道回廊を開設。双方で合意したとのこと。
ウクライナ側はロシア軍による攻撃が止まらないと非難、民間人の退避を延期。
しかし一方でロシア側はウクライナ軍により街に民間人を閉じ込めて政府を守るための「人間の盾」としていると主張。
不透明な情報だけでは何がどちらが本当なのかは分かりません。
ただ、どちらか一方の見方だけでなく、実際に起こった出来事を視野を広く客観的に、冷静に見ることが大切であり、真実が知りたいのです。
日本の皆様も日々新たな流れてくる情報を鵜呑みにするのではなく、どうか真実は何か、慎重に探究してほしいと思います。
私が知り得た情報全てが正しいとは思っていません。
まだまだ知識を広げている最中です。
正解が何か決めつけるのはナンセンス
ロシアとウクライナの関係は歴史的背景、ロシア人とウクライナ人が生まれて今まで生きてきた環境、その中で受けてきた教育で構築された思考や思想による要因が大きいと私は考えています。
彼らにしか分からないものがあるはず。理屈だけ追求したら解決策が見えてくるものではないと思います。
近年の中でもオレンジ革命やユーロマイダンなど、ウクライナ国内の中で大きな動きや衝突が起こっています。
戦争というものがこうしてなくならないのは、「人間だから」。
私たちはロボットではない、感情のある生き物だからこそ、問題は複雑化し、正解なんて簡単に見出だせないのではないでしょうか。
常に政治の利権を巡ったロシアとウクライナの関係は根深く、解決するのは大変難しい問題です。常に人々の生活は不安定なものでした。
そのため、この武力抗争以前にすでに多くのウクライナ人が安全と安定した暮らしを求めてヨーロッパへ移民として渡っています。
しかし、これだけは言えるのではないでしょうか。
いつも犠牲になるのは一般市民。彼らの人生を破壊し、生活を翻弄する権利は誰にもないはずです。
そして、遙々ウクライナやポーランド、スロバキアに赴き、現地で取材をして日本への報道を続けて下さっている日本の報道機関の方々、お疲れの出ませんように。
また、こんな僻地に住む私のことを気にかけて下さった方、支援物資を送って下さった方、本当にありがとうございます。(私が礼を言う立場ではないですが、)
お心遣いに感謝しております。