今回、慰安旅行と称して夫婦でバルデヨフの温泉療養地に二泊してきました。
(ホテルへのチェックインの前にコロナウイルス抗原検査をして陰性を確認の後に宿泊しました)
要塞都市として栄えたバルデヨフ
バルデヨフは中世に交易で栄え、要塞都市として発展しました。15~16世紀に建設された要塞が今でも残り、中世の面影が今に残る市街保護区(旧市街)はその保存状態の良さから世界遺産に登録されています。
中世の風を感じながらコーヒーを
おすすめのカフェが旧市街のラドニツネー広場にあるCukráreň babička (ツクラーレンバビチカ)
カフェの名前のバビチカとはスロバキア語でおばあちゃん。名前の通り、店内はおばあちゃんの家のようなインテリア。頭上の壁に沿って、ジオラマの列車が動いている茶目っ気も。
天気の良い日はテラス席に座るのもあり。
ラドニツネー広場を見渡せて、聖エギーディウス大聖堂が目の前にあります。
お手洗いは店員に鍵を借りて地下に降りて行くとあるのですが、中世の地下倉庫としての壁がむき出しでした。
大聖堂と鐘
聖エギーディウス大聖堂13世紀に建てられたゴシック様式の大聖堂。実はこの大聖堂の鐘を主人のひいひいおじい様が19世紀に手がけたそうで、鐘に氏名が記されていました。
時間があれば、ぜひ大聖堂の塔の上まで上がって下さい。バルデヨフの街を一望でき、遠くの丘や畑まで見渡せます。
博物館に刻まれた歴史と想い
広場の中央にある博物館(旧市役所)の外側に注目です。元々、中世では市場としても機能していました。そのため穀物の量りが今でも外壁に当時の市場の名残としてくっついているのです。
こちらも市役所の外側にある岩を彫ってできた装飾。その昔、市長がある男に依頼して作られましたが、完成後、市長は報酬をきちんと払わなかったことに腹を立てた男は装飾に自分を騙した市長へのメッセージを込めました。
是非、バルデヨフのラドニツネー広場を訪れた際は探して見てみて下さい。この装飾の一番上の真ん中にいます。
バルデヨフ温泉で湯治
バルデヨフの温泉地は19世紀頃からすでに、温泉療養地として有名で、多くの王族や貴族(ロシア皇帝アレクサンドル1世やナポレオンの妻など)が疲れを癒しに足を運んだのだとか。
かのオーストリア・ハンガリー帝国皇后エリザベート(愛称シシィ)もよく訪れたそうです。
彼女が滞在していた屋敷は現在ホテルとして営業しており、大きなバルコニーのある部屋はスイートルームとして宿泊が可能。しかし、実際に彼女が決まって滞在したのは屋敷の隅の小さなバルコニーがついた部屋だったそうです。
シシィのアパルトマンミュージアム
ホテルアルジュベタ(アルジュベタはエリザベートのスロバキア語読み)のフロント横にシシィのアパルトマンを再現した部屋があります。置いてある家具はレプリカで、原物はオーストリアのシェーンブルン宮殿に展示されているそうです。
スロバキアでは温泉=飲泉
スロバキアで温泉といえば入るものではなく飲むもの。こちらでは飲泉が主流です。ミネラルを多く含んだ温泉を飲むことで体の内側から癒す。これがスロバキア式の湯治です。
バルデヨフ温泉では8種類の温泉が飲めます。(それぞれに名前がついています)
とにかく、想像以上にミネラルが豊富で濃厚なお味。
どれも共通して消化器系に効能があるようです。
職員がいるので、聞きたいことがあれば色々教えてくれます。
飲泉施設横の売店でkupeľný pohar (飲泉コップ)を購入してはいかがでしょう。
陶器でてきており、独特の形で取っ手の先の小さな穴から温泉を飲みます。
スロバキアで湯治は立派な医療療法として認知されているようで、宿泊施設内に診察室があり、医師や看護師も常駐しています。
医師からの診断書があれば、医療保険が適用されて実費なしで治療を受けながら滞在することができるのだそうです。
もちろんバルデヨフの温泉療養施設では入浴による療法も行っています。
簡単な入浴療法とマッサージのコースを申し込んだので、コロナウイルスの抗原検査時に渡されたスケジュールシートに書かれている時間に温泉施設に行くと、職員のおばちゃんに素っ裸になるように促されました。
では、スッポンポンでいざ入湯。
ちなみに大衆プールとサウナは水着着用です。
驚くことにホテル4棟(hotel Ozón, Alexander, Astória, Alžbeta)と温泉施設が通路で全て繋がっているのです。
そのため、冬場でも屋外に出ることなく移動ができます。つっかけにスウェット、手提げかばんが通のファッション。
食事は一日三食提供されます。宿泊カードを初回に持参して食堂に行き、食事を摂ります。
座席は指定席で相席でした。
スロバキアにも炭酸せんべいが存在した!
温泉といえば炭酸せんべい。スロバキアにもあるんです。
oblatky(オブラトキー)は直径20cmの特大サイズにクリームが挟んである点がスロバキアらしい。
味はバニラ、カカオ(チョコレート)などの定番からシナモンやキャラメル、ナッツやスロバキアで一般的な、ケシの実も!
中で一枚一枚焼き上げて製造しているので、焼きたてを一枚から購入することができます。オブラトキーを頬張りながら散歩が最高です。
かつての姿を取り戻す日まで
19世紀から社会主義時代まで絶えず賑わった温泉地も社会主義崩壊に伴う経営破綻でいくつかの屋敷が廃墟のようになってしまいました。
しかし、数年前から廃墟の屋敷をレストラン併設のホテルとして再生させる計画が遂行中だそうです。
今度はバルデヨフ温泉のあるべき姿になったときに是非また訪れたいと思います。
ホテルのフロントスタッフや温泉職員、炭酸せんべいのおばちゃん皆さんとても親切で気持ちよく過ごすことができたので個人的に非常におすすめです。
羽を伸ばすことができたゴールデンウィーク(日本では)でした。